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否定的なフィードバックの伝え方

否定的なことはすぐに忘れる

部下に否定的なフィードバックをしなければならない時、否定的な言葉だけでは相手を傷つけるかもしれないとの配慮から、最初に肯定的なことを言い、核心である否定的なことを伝え、最後にもう一度肯定的なことを言って締めくくるという方法があります。
こういうフィードバックの仕方を「フィードバック・サンドイッチ」などと言いますが、実はこうしたフィードバックの仕方ではあまり効果が期待できないのをご存じでしょうか。
というのも、人は否定的なことほど短時間で忘れてしまうからです。

人は誰でも、自分のことを実際より良く思っています。
他人が評価するよりも、自分は頭が良く優秀で才能もあると信じているのです。
それは自分自身に対する信念となって、誰の心にも強固に留まっています。
そのため、否定的なことを言われてその信念を傷つけられた場合、否定的なことを言われたこと自体を忘れてしまったり、内容を都合よく解釈して自分に肯定的な内容に改変してしまったりするのです。

べつに意識して忘れようとしているのではありません。
自分は平均よりも上だと誰もが無意識レベルで信じています。
その信念を維持するために、否定的なことは自動的に忘れ去られ、自分に好ましいセルフイメージのみ強固にされるのです。

したがって、冒頭のようにフィードバック・サンドイッチを使って本当に伝えたい否定的なフィードバックを肯定的な言葉で挟んだとしても、言われた当人は肯定的な言葉だけ記憶にとどめ、否定的なフィードバックはすぐに忘れてしまいます。
それゆえ、この方法で部下の行動を改善することは期待できないのです。

否定的なことの効果的な伝え方

では、どうしたら否定的なことも覚えておいてもらい、行動の改善を促すことができるのでしょうか。
否定的なことを効果的に伝えるには、以下の2つの方法が考えられます。

一つは、相手が忘れるより前に確認する方法です。
たとえば、部下の作成した書類10枚のうち9枚にミスがあったとしましょう。
それを指摘して注意すれば、ミスの多さにさすがに当初は部下も覚えているでしょう。

しかし1か月も経てば、ミスどころかそんな会話があったことさえ忘れてしまうかもしれません。
忘れないとしても、上司の指摘こそが誤りで自分は悪くないとの判断に落ち着いてしまいます。
これを防ぐには、そうなる前にもう一度部下に確認することです。
数週間ごとに進歩しているか確認すれば、さすがに忘れ去られることはないでしょう。

もう一つは、肯定的なことに注目して伝える方法です。
10枚中9枚にミスがあっても、あえてよくできた1枚を褒めます。
「これはすばらしい。この調子でやってほしい」と伝えれば、人は肯定的なフィードバックは素直に受け入れるため、部下の記憶にも残るでしょう。
その肯定的なセルフイメージを維持するために、ミスの改善にもつながります。